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温度計キャリブレーション報告その1

 報告内容:温度計デバイス10個をdeltaOHMでキャリブレーションした結果の報告です。


    試験内容
  各デバイスとdeltaOHMを室内、冷蔵庫内、冷凍庫内の各条件で十分放置してから温度を計測し、その結果を用いてキャリブレーションを行いました。


・結果の簡略報告
deltaOHMの温度をT(℃)、各デバイスの温度をt(℃)として行ったキャリブレーション結果。

1次関数による近似の場合(T = at + b)

デバイスID a b
E9000002BB4C4028 1.017 +/- 0.01168 -0.6187 +/- 0.1972
5B000002BB7DDD28 1.021 +/- 0.01200 -0.7120 +/- 0.2026
B9000002BC2F2D28 1.025 +/- 0.01097 -0.7045 +/- 0.1851
C0000002BB812F28 1.019 +/- 0.01122 -0.6441 +/- 0.1894
CA000002BB872628 1.019 +/- 0.01241 -0.6046 +/- 0.2095
93000002BB4CFC28 1.019 +/- 0.01122 -0.5441 +/- 0.1894
BF000002BB709128 1.018 +/- 0.01154 -0.6024 +/- 0.1948
C9000002BB6A3428 1.013 +/- 0.01181 -0.5436 +/- 0.1994
D4000002BB777F28 1.016 +/- 0.01210 -0.6533 +/- 0.2042
F3000002BB48E328 1.017 +/- 0.01188 -0.5770 +/- 0.2006

2次関数による近似の場合(T = at2 +bt +c)


デバイスID a b c
E9000002BB4C4028 0.001265 +/- 0.0006047 1.008 +/- 0.009150 -0.9479 +/- 0.2075
5B000002BB7DDD28 0.001209 +/- 0.0007063 1.012 +/- 0.01069 -1.027 +/- 0.2424
B9000002BC2F2D28 0.001136 +/- 0.0006185 1.017 +/- 0.009359 -1.000 +/- 0.2122
C0000002BB812F28 0.001176 +/- 0.0006197 1.010 +/- 0.009378 -0.9502 +/- 0.2127
CA000002BB872628 0.001352 +/- 0.0005976 1.009 +/- 0.009043 -0.9502 +/- 0.2051
93000002BB4CFC28 0.001176 +/- 0.0006197 1.010 +/- 0.009378 -0.8502 +/- 0.2127
BF000002BB709128 0.001073 +/- 0.0007497 1.011 +/- 0.01135 -0.8816 +/- 0.2573
C9000002BB6A3428 0.001009 +/- 0.0008264 1.006 +/- 0.01251 -0.8062 +/- 0.2836
D4000002BB777F28 0.001146 +/- 0.0007706 1.007 +/- 0.01166 -0.9514 +/- 0.2645
F3000002BB48E328 0.001161 +/- 0.0007291 1.008 +/- 0.01103 -0.8792 +/- 0.2502

デバイスの分解能が1/16℃なので有効数字4桁で見積もって計算してあります。
結果の簡易報告は以上です。


・課程報告

1:試験時の温度の時間変化について
常温、冷蔵庫内、冷凍庫内のdeltaOHMの時間変化グラフを載せます。すべてdeltaOHMを設置してから十分時間がたった後の温度です。


  デバイスとdeltaOHMの時定数がわからないので、キャリブレーションをするなら温度一定の条件下で行いたいところです。
室内(青色)では27.4+/-0.1℃程度で安定したのですが、冷蔵庫と冷凍庫は室内に比べて時間変動が大きく、キャリブレーションが行えるか疑問です。
deltaOHMとデバイス(E9000002BB4C4028)の出力値の時間変化グラフ例(冷蔵庫)を載せます。


 

各デバイスのグラフはこちら↓から (画像クリックで飛びます)
赤がdeltaOHM、緑がデバイスの温度です。

冷蔵庫
E9000002BB4C4028 C9000002BB6A3428 93000002BB4CFC28 CA000002BB872628 BF000002BB709128





B9000002BC2F2D28 5B000002BB7DDD28 F3000002BB48E328 C0000002BB812F28 D4000002BB777F28






冷凍庫
E9000002BB4C4028 C9000002BB6A3428 93000002BB4CFC28 CA000002BB872628 BF000002BB709128





B9000002BC2F2D28 5B000002BB7DDD28 F3000002BB48E328 C0000002BB812F28 D4000002BB777F28






deltaOHMとデバイスで温度変化に対する反応速度が違うようです。 #ここの部分は課題ですね……
同じことが冷凍庫データにも言えます。そこで冷蔵庫と冷凍庫のデータは温度が(時間に対し)比較的安定している極値付近のデータのみを用いてキャリブレーションを行いました。
よって今回のキャリブレーションは室内のデータから1点、冷蔵庫内と冷凍庫内のデータからそれぞれ2点、計5点で行っています。
 
追加:要望のあった温度対温度グラフを載せておきます。
同じ時間でのdeltaOHMとデバイスの温度を比較したものです。
各デバイスのグラフはこちら↓から (画像クリックで飛びます)

冷蔵庫の場合
E9000002BB4C4028 C9000002BB6A3428 93000002BB4CFC28 CA000002BB872628 BF000002BB709128





B9000002BC2F2D28 5B000002BB7DDD28 F3000002BB48E328 C0000002BB812F28 D4000002BB777F28






冷凍庫の場合

E9000002BB4C4028 C9000002BB6A3428 93000002BB4CFC28 CA000002BB872628 BF000002BB709128





B9000002BC2F2D28 5B000002BB7DDD28 F3000002BB48E328 C0000002BB812F28 D4000002BB777F28






2:近似結果
データを一次関数と二次関数で近似した結果のグラフを載せておきます。
 *ややこしいですが赤点はただの原点マークです。
 *ラベルをつけ忘れました。横軸がデバイスの出力値、縦軸がdeltaOHMの出力値です。

  一次近似


上はD4000002BB777F28のデバイスのグラフです。
その他のデバイスのグラフはこちら↓から (別窓で開きます)
E9000002BB4C4028
C9000002BB6A3428
93000002BB4CFC28
CA000002BB872628
BF000002BB709128
B9000002BC2F2D28
5B000002BB7DDD28
F3000002BB48E328
C0000002BB812F28

一次近似+二次近似


一次近似だけだと8℃付近のい点がカバーできていないようです。
デバイスの仕様書を見ても温度特性は1次の成分のみではないようです。
課程報告は以上です。
 
・これからの課題など

1:温度が時間に対し安定しない。
 上記の方法だと測定時間のロスが大きいです。要求される精度に対し十分かどうかも要考察ですね。
 断熱容器に入れてはどうかという意見もいただきましたが……。とりあえず今使っている容器では不十分なようです。

2:データ点が少ない。
 今のところ各デバイス5点だけです。常温ならエアコンでなんとかなるかもしれませんが、氷点下をどうするかが問題です。
 ただ現時点でほぼ直線に乗っています。直線から外れるほど極端な変化を見せるとも思えませんし、十分かもしれません。

3:deltaOHMとデバイスの同期が不十分
 現在deltaOHMとデバイスを別々に走らせています。つまり同期していません。両方とも温度情報と時間情報が出力されるので、時間情報がもっとも近い組を選んで温度データを対応させています。
 deltaOHMの出力の時間間隔が約1.0秒。デバイスの出力の時間間隔が約1.1。なので時間のずれは大きくても0.5秒程度になります。プログラムを弄って同期させる方法を考えたほうがいいかもしれません。
 現行プログラムだと「deltaOHMから出力される温度情報は過去10回の平均値かもしれない」との情報もいただいています。つまり約9秒分の過去データが混じっていることに……。確認して、そのとおりだったらソース書き直してから再試験ですね……。

4:解析を自動で行ってくれるプログラム作成
 最終的に100個以上のデバイスをキャリブレーションするので、その手間を省けるようなプログラムを余裕があれば作りたいです。

簡単ですが「温度計キャリブレーション報告その1」は以上です。
アドバイス、修正すべき箇所、資料要求等がございましたらご連絡ください。
写真もあった方がよかったですね……。